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月別アーカイブ: 2026年1月

エムアイエフのよもやま話~「100年発電所」を守る ️~

皆さんこんにちは

株式会社エムアイエフの更新担当の中西です

 

~「100年発電所」を守る ️~

 

水力発電の強みは、燃料を燃やさず、設備を丁寧に守れば長期間使えること。実際、三居沢発電所のように長い年月を経ても現役で運転し続ける例があり、改修を重ねながら稼働していることが紹介されています。
そして今、日本の多くの水力設備は「経年設備(長期間運用された設備)」になっています。ここでメンテナンス業は、単なる修理ではなく **“設備を若返らせる産業”**へと進化していきました✨


1. 高度経済成長:設備の大型化で、保守は「計画工事」へ ️

高度経済成長期、日本は電力需要が爆発的に増えました。
火力・原子力も拡大しましたが、水力も各地で整備され、既設設備も含めて“安定供給”が求められます。

この頃のメンテナンスの特徴は、**停止して点検する「計画停止(停止工事)」**が本格化したことです。

  • いつ止めるか(需要と水況を読む)

  • どこを分解するか(優先順位)

  • 何人で、何日で終えるか(工程管理)‍♂️

  • 再起動までの品質保証(検査・試運転)✅

水力メンテはここで、職人技だけでなく、**工程・安全・品質を一体で回す“現場マネジメント”**の色が濃くなっていきます


2. 老朽化時代の本番:「壊れてから直す」では間に合わない ⚠️

発電所は止まれば発電できません。
しかも水力は、山奥にあることも多く、緊急対応の移動だけで時間がかかる。だからこそ、メンテナンスは次第に

事後保全(壊れてから直す) → 予防保全(壊れる前に手当て)

へと重心を移していきます✨

水力設備の予防保全や寿命評価、更新の考え方は、メーカー・研究機関の技術論文でも体系的に論じられています。
現場感で言うと、予防保全が強いのは「小さな異常」を見逃さないから

  • 振動がいつもより増えた

  • 軸受温度がじわっと上がる️

  • オイルに金属粉が混じる️

  • 絶縁の状態が落ちてきた⚡

  • 水車羽根にキャビテーション痕が出る(水の衝撃でえぐれる)

これらを早期に拾えるかどうかで、発電所の寿命も、停止期間も、コストも変わります。
つまりメンテナンス業は、「異常を直す仕事」から「異常を起こさせない仕事」へ進化したんです️✨


3. 法令と保安体制:メンテナンスは“義務”であり“信用”になる

水力発電所は電気工作物として、安全確保の枠組みの中で運用されます。
たとえば国(経済産業省)は、発電所等の事業用電気工作物に対して技術基準適合の確保や、保安規程の作成・届出・遵守、主任技術者の選任などを求めています。

ここが、水力メンテナンス業の社会的な価値をグッと押し上げました。

  • 点検記録を残す

  • 手順を標準化する

  • 事故ゼロを目指す

  • いざという時に確実に動く設備を維持する

水力発電は「自然エネルギーでクリーン」と言われますが、その裏には、地道な保安と点検の積み重ねがあるんです


4. 更新・リハビリ(リハビリテーション):水力の価値は「若返り工事」で伸びる ⚙️

水力の大きなテーマが、**更新(リハビリ)**です。

  • 水車のランナ(羽根車)更新

  • 発電機の巻線・絶縁更新

  • 調速機(ガバナ)更新

  • 制御・保護装置のデジタル化

  • 効率改善(同じ水量で発電量を増やす)

こうした工事は、単に古い部品を新しくするだけではありません。
「効率」「信頼性」「保守性」「停止期間」まで含めて最適化し、“これからの20〜30年”を作り直す仕事です️✨

そして、これはメンテナンス業が得意とする領域。
なぜなら、長年の点検データや運転実績から、「どこが弱点で、何を変えるべきか」を知っているからです


5. デジタル化と予知保全:令和のメンテは「見る」から「読みにいく」へ ➡️

近年、メンテナンスはさらに変わっています。

  • 振動監視センサー

  • 温度・圧力・流量の常時監視️

  • 部分放電など電気的診断⚡

  • 遠隔監視(山奥でも状態が分かる)️

  • 点検記録の電子化・写真管理

これにより、メンテは「定期的に行って確認する」だけでなく、
常時データから“兆し”を読んで、止めどきを決める方向へ進みます。
現場の言葉で言うなら、
「壊れたら止める」ではなく、**「壊れないタイミングで止める」**です⌛️

ただし、ここで誤解しがちなのが、デジタル化が職人を不要にするわけではないこと。
むしろ逆で、データが増えるほど

  • どの変化が危険信号か

  • どの音・振動が“いつもの個性”か

  • 何を優先すべきか

を判断できる“経験者の目”が価値を持ちます‍♂️✨
つまり令和の水力メンテは、職人技+データ解析のハイブリッドに進化しているんです


6. これからの課題:自然が変わる時代のメンテナンス ️

気候変動や豪雨の増加、土砂災害リスクの高まりは、水力にとって無視できない変化です。

  • 取水口への流木・土砂の増加

  • 導水路の堆積・閉塞リスク

  • 増水時の設備保護(ゲート運用)

  • 周辺斜面・護岸の点検強化️

これからの水力メンテナンス業は、機械と電気だけでなく、流域・地形・防災の視点もますます重要になります️


水力発電メンテナンス業は「止めない技術」から「未来を延ばす技術」へ ⚡

高度経済成長以降、水力メンテナンス業は

✅ 計画停止と工程管理で“確実に守る”
✅ 予防保全で“壊さない”
✅ 更新工事で“若返らせる”
✅ デジタル監視で“兆しを読む”
✅ 気候変動に備えて“流域まで守る”

という形で進化してきました

水力発電は「古い設備」と言われがちですが、本当は逆。
守り方が進化するほど、価値が伸びる電源です。
そして、その中心にいるのが水力発電メンテナンス業――まさに“発電所の寿命を伸ばす仕事”なんです⚡

エムアイエフのよもやま話~日本の水力は「直す力」~

皆さんこんにちは

株式会社エムアイエフの更新担当の中西です

 

~日本の水力は「直す力」~

 

水力発電と聞くと、ダムや山あいの発電所、静かに回り続ける巨大な水車…そんな風景を思い浮かべる人が多いかもしれません
でも、水力発電の本当の強さは「建てた瞬間」ではなく、何十年も“動かし続ける”力にあります。つまり、水力発電の歴史は同時に、水力発電メンテナンス(保守・点検・修繕)の歴史でもあるんです✨

日本の水力発電は、明治期から現代まで約130年以上の積み重ねがあります。たとえば、仙台の三居沢は日本の水力発電発祥の地として知られ、1888年(明治21年)に紡績工場の水車に発電機を取り付けて運転したことが始まりとされています。
さらに、琵琶湖疏水を利用した京都・蹴上発電所は、1891年(明治24年)に日本初の一般供給用水力発電所として運転を開始し、街灯や産業、電気鉄道にも電力を供給しました。

この頃からずっと、水力は「設備を守り、直し、更新しながら使い続ける」ことで価値を発揮してきました。今回は前編として、黎明期〜戦後復興までを、“メンテナンスの目線”でたどっていきます


1. 黎明期の水力は「小さく始めて、直しながら育てた」⚡

明治の水力発電は、最初から巨大ダムを造って一気に…という形ではありませんでした。
水の流れがある場所で、工場の動力や灯りのために発電機を回す。必要に応じて改修し、出力を上げる。そうやって**設備を“育てる”**発想が強かったんです。

三居沢発電所の歴史を見ても、当初は小さな直流発電機(5kW)で点灯を行い、改修を重ねていったことが紹介されています。
蹴上発電所も、当初の設備から増強・改良を重ねてきた歩みが整理されています。

ここで重要なのが、「発電=建設」で終わらないということ。
むしろ“運転し始めてから”が本番で、当時の現場は次のような課題と向き合っていました

  • 水車の摩耗・損傷(砂や小石、流木の影響)

  • 軸受(ベアリング)の発熱や潤滑の問題️

  • 発電機の絶縁劣化や異常発熱

  • 水路や取水口の詰まり、土砂堆積、冬季の凍結❄️

  • 調速機(ガバナ)や弁の不具合で回転数が乱れる⚙️

つまり、**“止めないための工夫”**が、最初期から必要だったわけです。
この段階のメンテナンスは、今ほど計測器もセンサーもありません。音、振動、匂い、温度感、オイルの状態――職人の五感が頼りでした


2. 山の発電所は「行くこと」自体が保守だった ️‍♂️

水力発電所は、都市の真ん中よりも山あい・渓谷・川沿いに建ちます。
だからメンテナンスの歴史は、設備技術だけでなく**“現場へ辿り着く技術”**ともセットです。

  • 雪で道が閉ざされる❄️

  • 増水で橋が流される

  • 落石で通行不能になる

  • 資材搬入が人力・索道・舟頼みになることも

「不具合が起きたから行く」ではなく、
“不具合が起きないように、行ける時に点検する”
この発想が、水力メンテナンスの基本として根付いていきます✨

ここで生まれた文化が、今でも水力メンテの現場に残っています。
たとえば、雨季・雪解け・台風シーズン前後の点検強化や、取水口の清掃、除塵機(スクリーン)やゲートの作動確認など、「自然のリズムに合わせた保全」です


3. 大正〜昭和前期:水力の拡大とともに、保守は“体系化”へ ️

電力需要が増えるにつれて、発電所は大規模化し、設備も複雑になります。
ここでメンテナンスの役割は一気に広がりました。

✅ 水車・発電機だけじゃない「周辺設備」が増える

水力発電は、回している機械だけが設備ではありません。
運用が大きくなるほど、守るべき対象が増えます。

  • 取水口、沈砂池、導水路、圧力管路(ペンストック)

  • ゲート、バルブ、油圧装置

  • 制御盤、計器、保護リレー、励磁装置⚡

  • 変電設備、遮断器、避雷器⚡⚠️

  • 放水路や護岸、周辺土木構造物️

この時代から、メンテは「機械担当」「電気担当」「土木担当」など、分野ごとの専門性が分かれ、**点検の型(チェック項目・周期・記録)**が整っていきます

✅ “メーカー保守”と“現場保守”の分業が進む

規模が大きくなると、分解整備(オーバーホール)や精密調整はメーカーや専門業者が担い、日常点検や軽微な調整を現場が担うようになります。
水力メンテナンス業はここで、単なる「修理屋」ではなく、設備を長寿命化するための専門産業として輪郭を持ち始めました✨


4. 戦中〜戦後復興:水力は“動かし続ける力”が試された時代 ⚡

戦中〜戦後にかけては、資材不足・人手不足・設備の酷使などで、発電設備は厳しい環境に置かれました。
それでも電力は必要です。工場も、交通も、生活も、電気がなければ成り立たない。

この時代に水力メンテナンス業が培ったのは、
**「限られた条件で、最大限の信頼性を確保する」**という現場力です

  • 部品がないなら補修・再生する

  • 劣化を見極めて、壊れる前に手当てする

  • 記録を残して、次の点検に活かす

  • 交換できない箇所は、運転条件を調整して延命する

ここで重要なのは、メンテナンスが「裏方」ではなく、発電そのものの成否を左右する“主役級の仕事”だったことです⚡


水力発電の歴史は、メンテナンスの歴史そのもの

黎明期から戦後までを振り返ると、水力発電はずっとこうでした。

✅ 自然に向き合いながら
✅ 設備を直し、育て、増強し
✅ 現場の知恵で止めずに回し続ける

そしてこの積み重ねが、次の時代――高度経済成長と設備の巨大化、さらに“老朽化対策”へとつながっていきます。